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8話 自然な会話


給湯室で叶絵に、フェイスブックをチェックしたことを報告した。
「浩之さんは、フットサルが好きで、レディ・ガガが好きなんだって」
「今度話すチャンスがあったら、ガガの話でも振ってみれば?」
「いきなりガガ好きですか? なんて聞けないよ」
「だね」
知らない人に話しかけるのって、難しい。
まして、仲よくなるなんて、夢のまた夢という気がする。

夕方、課長に頼まれて、資材部に資料を取りにいくと、
フロアの入り口で若い男性がうろうろしていた。
男性は私を見て、助かったという顔をして、名刺を差し出した。
「あの、ヨシズファクトリーの竹下陽向といいます。
購買部にお伺いするつもりが、迷ってしまって……」
うちの社内はレイアウトが回廊式になっていて、
目印がないのでたまに迷ってしまう人がいる。
私は、男性が入館証をつけていることを確認し、
「でしたら、購買部にご案内します」と歩き出した。
黙っているのも気詰まりなので、もらった名刺を見ながら、
「ひなたさんって、素敵なお名前ですね」と言った。
彼は照れたようにほほ笑んだあと、私の社員証を見て、
「天野詩織さんっていう名前も、キレイです」といってくれた。

知らない人なのに、すごく自然に会話ができた。
こんな風に自然に浩之さんとも話せたらいいのに——。
そう思いつつ、どうにもならないという諦めに似た気持ちになった。

数日後、浩之さんの衝撃的な噂を聞いた。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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