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5話 結婚を逆算して産活


社内で見かけるだけの人を、秘かに想っている……なんて、
結婚して子どもまでいるみんなの前では言いにくい。
自分だけがひどく幼稚に思えてしまって。
「子どもが10キロ超えちゃって、抱くのが大変!
買い物袋も重いしさー。すっかり腕が太くなっちゃった」
口ではそんなことを言っているけど、みんな幸せそうに見えた。

東京に戻ったらホッとやすらいだ。
「両親には『結婚まだなの?』って質問攻めにされるし。
のんびりしたくて田舎に帰ったのに、かえって精神的に疲れちゃった」
社員食堂で、叶絵は「うんうん、わかるー」とうなずいた。
「うちも似たようなこと言われた。私だって結婚したいっつーの!
32歳までに子どもがほしいから、逆算すると31歳に妊娠、30歳に結婚。
ってことは29歳のうちに、結婚相手に出会っておかないと」
そう考えると、すでに29歳の私たちに残された時間は少ない。
「私、いつ妊娠してもいいように、ちゃんと『産活』してるんだよ」
「産活?」
「葉酸は妊娠前から摂っておくべきだから、サプリを飲んでるの。
他にも食事をマクロビにしたり、ジムで体力アップを心がけたり」
そこまでしなくちゃいけないの!? と驚いた。
まるで、子どもをつくるために結婚するみたい……。
好きな人と結婚して、自然に子どもを、という考えは甘いのかな?

そのとき、隣の席に誰かが座った。
反射的に横を見ると、そこにいたのは——……浩之さん!
心臓がドキンという音を立て、大きく脈を打ち始めた。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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