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4話 出遅れたあせり


彼のことを知るどころか、姿を見かけることもないうちに、
夏休みがやってきた。

新幹線に乗って帰省し、同級生たちと再会した。
美保、千尋、恵子。小学と中学で一緒だった、なつかしい顔ぶれだ。
「久しぶりー」
「詩織、去年は帰ってこなかったもんね」
「去年の夏は、バリに行ってたから」
「いいなあ。うちは子どもができてから、旅行なんて縁がなくて」
「私んとこも同じ」
「そっか、美保も千尋も恵子も、子どもがいるんだもんね。
連れて来ないから、みんな独身のような気でいたよ」
「たまに飲むときくらい、ダンナに見てもらわなきゃね」
美保が言うと、千尋と恵子が笑った。

よく考えたら、私も29歳。
結婚して、子どもがいてもおかしくない年齢だ。
東京にいると気づかなかったけど、
こうして結婚した3人に囲まれていると、
自分だけ出遅れたあせりが生まれてくる。

「詩織はどうなの? 結婚の予定は?」
「全然ないよ」
「本当? 東京にいたら、いっぱい出会いがあるんでしょ?」
『堤 浩之』のことが、頭に浮かんだ。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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