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3話 臆病者の小さな幸せ


迷った末、私は画面を閉じた。
「嘘!? なんで?」叶絵が驚いた。
「だって、彼って見るからに私より年上でしょ。
うちの会社で30代の男性って、7割が結婚してるじゃない?
彼に奥さんがいるってわかったら、それどころか奥さんと一緒の写真
がサイトにあったりしたら……そういうの今は見たくない」
「ふーん。じゃ、見たくなったら見ればいいね」と言いつつ、
叶絵の目は『臆病者』と私を責めていた。

そんな叶絵を見て、小学生時代のことを思い出した。
学校の七不思議のひとつに、
『0時0分0秒に、学校の踊り場の鏡に、自分の将来の姿がうつる』
というものがあった。
あるとき、クラスメイトのなかでも活発な女子が
「夜中に学校に忍び込んで、鏡を見よう」と言い出した。

私は反対した。
鏡には、きれいな花嫁姿がうつるとは限らない。
ボロボロの老婆がうつるかもしれないのだ。
「怖いから見たくない」と言った私を、
クラスメイトが『臆病者』という目で見た。

昔から私は臆病だった。
小さな幸せを失うことに怯えながら生きてきた。
そうして生きてきたけど、その結果、今の私は幸せなのだろうか?
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

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