お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

1話 間違ったひと目惚れ


ひと目惚れなんてありえないと思っていた。
人を外見で判断するなんて間違っている、と。

それなのに、つい目で追ってしまう人がいる。
会社のエレベーターで、廊下で、社員食堂で、すれ違うだけ、
口をきいたこともなければ、名前も知らない。
でも、彼の姿を見つけると、一日中幸せな気持ちでいられる。

はじめは社員食堂で見かけて、ちょっといいなと思った。
そのとき彼は、隣にいる同僚らしき人の話に顔を崩して笑った。
どちらかというとクールな顔が、急にやさしくなったのを見た瞬間、
心をぎゅっとつかまれた。

「声をかけてみれば?」
と同僚の叶絵は言うけれど、そんなのムリ。
「なんでもいいじゃない。おはようとか、暑いですねとか」
「それくらいなら、2人きりになったら言えなくはないけど……」
でも、エレベーターで会ったときは、たくさん人が乗っていて、
彼と私のいる場所は離れていたし。
廊下を歩いているときに呼び止めるのもヘンだし。
社員食堂では他の人と一緒にいたり、席が離れていたり、
話しかけるタイミングなんて見つかりそうにない。

ときどき姿を見かけて、心がときめくだけで十分。
そう諦めていたら、叶絵が『あること』を思いついた。
天野詩織(29歳)
繊維メーカーの事務職。恋愛に臆病でなかなか一歩を踏み出せない。
堤 浩之(36歳)
営業職。詩織が社内で見かけ、ひと目惚れした相手。
竹下陽向(27歳)
取引先のアパレルメーカーに勤務している。自然に話せて、安らげる相手。
本田叶絵(29歳)
詩織の同僚。明るく活発なタイプで、詩織の背中を押そうとしてくれる。

お役立ち情報[PR]