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恋人になりたくて-12

その後、授業を終えた畑中先生が、
これ以上はないほどのドヤ顔で、カウンター越しにささやいた。
「実は高山先生に前、沢口さんがタイプだって聞いてたんだ」

「そういうことは、早く言ってください!」
わたしはそこで、またしても大きな声を出してしまい、
当然、周囲の生徒がいっせいに振り向いた。
顔が、耳が、真っ赤に熱くなるのが自分でもわかった。

「クックックッ……麻子ちゃん、いい顔してる。
で、そこでぼくからのアドバイス。
もし食事の席で『付き合って』って言われなかったら、
帰りは、必ず自分から手をつなぐこと。
そうしたら必ず、付き合えるようになるから」

「そんな。嫌われたり……しませんか?」
「絶対ない。でも自分から『付き合って』とは言わないこと」

かくして週末、高山先生と食事に行った。
先生は2人きりになると意外なほどおしゃべりで、
紹介された創作系フランス料理はとてもおいしく、
デートは大いに盛り上がった。

畑中先生のアドバイスは、結局ぜんぜん役に立たなかった。
なぜなら駅までの帰り道、何度もためらうわたしの手を
そっと握ってくれたのは、高山先生の方だったからだ。


(おわり)

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