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60話 明日に向けて


金曜日。わたしはひさしぶりに大きな白いユリ、
カサブランカの花束とデリを持って透の家へ行った。
透はすでに商社を退職し、今は有給の消化中。
8月からは子会社へ正式に移る。

「お疲れ様。お腹すいちゃったよ」
「待ってて。先にお花いけちゃうから」
わたしはいつかこの花をブーケにして結婚式を、
とそんな願いをこめて、カサブランカを手早くいけた。
「乾杯!」
そしてわたしたちは、照れ笑いをして下を向いた。

「しかしオレって……今まで恵まれてたんだな。
これからはボーナスも、福利厚生の質も下がるし、
会社に残る連中からはもう『子会社の人間』扱いだし。
でもこれからは、こんなことでメゲてられないよな」

今さら気づくなんて、透ってやっぱり子どもっぽい
……と、どうしても立花さんとくらべてしまう。
本当に透でよかったのか。実は未だに迷うことは多い。

「うん。実はわたしも来年度から、
営業職へ異動が決まったの。一緒にがんばろうね」

だけど不安や迷いがあっても、好きな人の笑顔があれば、
きっと大丈夫。そう信じて、揺れる想いを胸に秘め、
わたしは透に微笑を投げかけた。
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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