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57話 わたしはズルいな


「いいも何も。ね、ちょっと考えてみて」

ホテルのビュッフェは、立花さんの言うとおり、
他のお客さんの声でざわざわしていて、
だからかえって、自分たちも話しやすい。

わたしは「透とダメになったら、ぼくと付き合おう」
と言った立花さんに、かなり衝撃を受けていた。

「ぼくはたぶん、同年代男性より高収入でしょう。
会社経営で鍛えているから、忍耐力も包容力も高い。
容姿にも……実はちょっと、自信を持ってます」

そこで立花さんは、クスクスと笑った。
わたしもつられて「ふふふっ」と笑ってしまう。
たしかに立花さんは、この台詞をいっても、
嫌味にならない、端整で上品な顔立ちだ。

「そこで、他に彼のいる若い女のコを口説いて
『はい、あなたに乗り換えます』って、
サラッといわれたら……どう思います?
怖いでしょう? そんな条件目当ての女性。
だからね、いいんです。
ぼくは、彼と別れられない海棠さんが好きです」

胸が痛かった。思わず、涙がこぼれてしまった。
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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