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42話 キューピットの矢のように


「や、お待たせ」
タクシーのドアが開くと立花さんの声がした。
前回はデートでタクシーなんて落ち着かなかったけれど、
今回2回目でもう慣れた。我ながらこわい。
そして立花さんの横顔は相変わらずきれいだ。
「海棠さん、イタリアン食べられる?」
「はい、大好きです」
「じゃあ、それにしよう」
やがて車は格式のあるホテルの前につく。
どうしよう。あまりに場違いでは……と焦っていたら、
イタリアンのお店はこじんまりした雰囲気で安心した。

「アレだよね。海棠さんは仕事帰りなのに
『少食なんです』とか気取るタイプじゃないよね」
「前回、見た通りです」
「よかった。でもここは1皿2人前だから気をつけて」
立花さんは愉快そうに笑いながらメニューを選ばせてくれた。
それからワインで乾杯して……しまった!
ムール貝は食べるのがむずかしい。
わたしは微笑んで立花さんの話を聞きながら、
でも視線は下に向けて、貝と格闘していた。

「それにしても、ぼくたち気が合うと思わない」
その言葉に、ドキッとして顔をあげる。
どうしよう。心がしっかり射抜かれた気がした。
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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