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38話 結局自分のことだけ?


透は、転職に反対の“可能性が出る”だけで、
機嫌が悪くなってしまうみたいだ。
不機嫌そうな顔で、下を向いている。

「違うよ。事前におたがいの都合や環境の確認をして、
その上で相談しながら将来の計画を立てないと、
思っても見なかった不都合が出るかもしれないでしょ」

「不都合って何だよ。例えばどんなだよ」
「例えば……ウチの会社は、
女性が長く勤めるには、営業職に移る慣例があるの。
透と結婚して子どもを生む予定なら、
今から職種を変更しないとダメかも」

「あ、そうなんだ」
透は顔を上げてチラッとわたしの顔を見ると、
またうつむいた。でもしばらくすると、
再び顔を上げて、きっぱりと言った。
「でも、今のオレには転職以外の選択はないんだ」

ウソ。ここまで言っても理解してもらえないなんて。
「わかった。透はやっぱり、
自分ひとりの未来しか見ていないんだね」

わたしは飲み物の代金をテーブルに置き、1人店を出た。
透は今回も、追ってはこなかった。
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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