お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

36話 彼の反論


自分でも、びっくりした。
透と結婚しない可能性もあり得る、と思い始めて、
逆に彼と結婚したい気持ち……それは付き合い始めてから
ずっと叶えたかった未来が、わき上がってきたのだった。
でも透の転職や立花さんとの出会いで、揺れ始めて、
絶対じゃなくなったからこそ、逆に今、素直に口に出せた
……そんな感じだ。皮肉なものだと思う。
透はうれしそうな困っているような、複雑な表情。
やっぱり結婚を匂わせる発言は、重たすぎたかな。

「オレと、一生一緒にいたいって、
そう思ってくれる気持ちは、本気でうれしいよ。
だけどさ、じゃあ瑞希はオレが商社を辞めたら、
結婚する気もなくなっちゃうわけ?
瑞希はオレの職業と結婚する気だったの?」
「そんなんじゃないよ。
でもベンチャー企業への転職は、ムチャすぎない?
人から1年で約3割、10年で7割以上が
倒産するって聞いて、正直怖くって……。
例えばわたしたちが結婚して、子どもが生まれて、
透が失業したらどうなるんだろう。生活できる?」 

ふたりとも、たぶんとても緊張していたし、
話題も、ちっとも楽しいものではないはずだった。
だけど透と、ここまで本音で話したのは初めてだ。
不思議な爽快感があるけれど、この先はどうなるのだろう。
何より、透自身はどう思っているのか。
わたしはドキドキしながら、彼の次の言葉を待った。
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

お役立ち情報[PR]