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35話 彼女の言い分


「あ、元気だった?」
待ち合わせは、わたしの住む街のカフェにした。
やってきた透は軽く手を上げたけど、どこかぎこちない。
でも、それはわたしも同じかもしれない。

「ねえ……しつこいかもしれないけれど、
この間、一緒にいた人って、本当に取引先の人?」
座るなり透は、立花さんの話を蒸し返した。
知らなかった。透は案外、嫉妬深いのかもしれない。

「そう。担当者の発注ミスを謝罪に行く時、
なぜかわたしも同席することになって、
その後に食事に誘われたの。断りきれなかった」
「ずいぶん乱暴な誘い方をする人だね」
透は険しい顔で苛立たしげにテーブルを指で叩いた。
ドキドキしたけど……わたし、ウソはついていない。

「うん。あと、透のおかあさんから電話があった。
転職のことで、何か詳しいことは聞いてないかって」
すると透は心底驚いていた。
「えーっ、お袋、瑞希のところに電話なんかしたの!
本当にごめん。あの人ブランド志向が強くてさ、
オレが商社辞めるの知って、すっごく取り乱してて」

「でも無理ないかも。わたしも転職を考える前に、
ちょっと相談してほしかったと思う。
正直……一生一緒にいたいって、思ってたから」
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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