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28話 恋を手放す時


「今日は、ごちそうさまでした。
すごく、おいしかったし楽しかったです」
「それはよかった。また、誘ってもいい?」
「もちろんです!」
「じゃあ、ぼくはここからタクシー拾って帰るんで。
海棠さん、気をつけてね」

駅の改札口から少し離れた場所で、
わたしは元気よく手を振って、立花さんと別れた。
きっとこうすると、年上の男性は喜ぶだろう、
と感じる振る舞いを、積極的にしている自分がいる。
だけどそれは言葉通り、立花さんとの食事が、
おいしくて楽しかったからでもある。
なのに……。
駅の改札を抜け、電車に乗り込む頃には、
どっと憂鬱になってしまった。
……なんで、あんなところで透に会うんだろう。
透の会社も家も、もっと別の街で、
会う可能性なんて、すごく低いはずなのに。
家に帰っても、ため息しかでない。
いろいろ考えた後、一応メールはしようと決心した。
「さっきは急で驚いた。念のために言っておくけど、
一緒にいた人は、取引先の人だから」
しばらく返事を待ったけれど、すぐには来ない。
それから少し気を落ち着けるようと、
キッチンでお茶をいれている最中、着信があった。

「そんなの信じられない」
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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