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17話 終わりかもしれない


彼とケンカして、カッとなって部屋を飛び出す……
まさか自分に、そんな展開が起きるとは。
でも今、たしかにわたしは透の部屋を出て、
夜の街をひとりで歩いている。

こういうことを計算でやる女のコも、いるだろう。
でも自分は違う。携帯やバックは気をつけて、
持ち出したけれど、後はまったく考えていない。

一瞬、透の部屋を振り返ろうかと、足を止めた。
だけど、振り向いて建物を見上げた時、
彼が部屋の窓から覗いていたら、と思ってやめた。
目が合ったら未練があるみたいで、かなり気まずい。

それでもわたしは透が後を追ってきてくれないか、
と心のどこかで期待していたのだと思う。
いつもよりゆっくりと、駅への道を歩いていた。

駅に着き改札に入ると、我慢ができずに振り向いた。
だけどそこに、透の姿はなかった。

風は妙に生暖かく、季節が感じられない。
街はしんと静かで、人影はあまりない。
お店の明かりも暗く、見知らぬ土地にいるよう。

……わたしたち、もう終わりかもしれない。
その時はじめて、涙が出てきてしまった。
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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