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14話 それでも花を持って


フラワーアレンジメントの教室の翌日、
透からメールがあった。
「昨日は転職先の社長と会ってきた。
どうやら、かなり気に入られたみたいだ!!」

メールからも、透の喜びと興奮が伝わってくる。
反対に……危機感はゼロ。
透の能天気さが、うらやましい気さえする。
でもここで揉める勇気もなく「よかったね!!」
と、わたしも一緒に喜んでいるフリをした。

そうして金曜日の仕事帰りはまたデパ地下で、
デリと花を買い、透の家へ急いだ。
花は赤いバラ。教室で使ったのと似たものを、
透の家でまたいけるのは、よい復習と応用になる。
「おじゃまします」
留守なので、また鍵を開けて中に入った。

先週いけたジャスミンはほとんど散っていたけど、
彼がちゃんと、水換えをしてくれた形跡がある。
その時たぶん、わたしを思い出してくれただろう、
そう思うとうれしくなる。
わたしはそっとジャスミンの枝を始末すると、
バラをいけ始めた。慎重にいける。
終わってしばらく、バラを眺めた。
……透、遅いな。何かあったのかしら?
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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