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10話 別の人の面影


立花さんは、わたしを見てにっこりと微笑んだ。
「海棠さん、電話ではたいへん失礼しました。
わざわざ呼びつけておいて何ですが、
あらためて、非礼をお詫びいたします」
頭を下げた立花さんに、わたしは焦った。
「いえ、普通に仕事をしただけですから」
すると立花さんは顔を上げて、再び微笑みかけた。
「対応が早くて、助かりました。
これからも、どうぞよろしくお願いしますね」

……あ、わたし立花さん、すごく好きになったかも。
「はい、こちらこそ!」
何と言ってよいか判らず、場違いなくらい元気に返事をする。

「今日はありがとうね。すごく助かったよ」
「いえ、わたし何もしてませんから……」
帰社途中、三峰さんと課長にもお礼を言われて困った。
でも、悪い気はしない。

帰社した後も、わたしはずっと繰り返し、
立花さんのことばかり考えていた。
そんな気持ちが後ろめたくて、帰宅後、透へメールする。
でも……2時間、3時間と時間が過ぎても返事がない。
「仕事に夢中なんだろうな」
ため息をつくと心の中に、立花さんの面影が忍び寄る。
当然こんな気持ち、透は気づくはずもない。
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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