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9話 嫌われたくない


立花さんはギリシャ彫刻のように鼻すじが通っていて、
切れ長の目が印象的な整った顔立ちをしていた。

この人に軽蔑されていたら、と思うと悲しくなる。
その立花さんに「こちらへ」と請われて、
わたしは課長や三峰さんとともに、応接室に入った。
「こちらが、御社から注文した品ですが」

立花さんは、目前のテーブルを指差していった。
「この応接室はメーカーの担当者の方との打ち合わせに、
主に使われています。が、あと2つ部屋があるのに、
肝心のテーブルセットが足りません。
商談も増えるので、ぜひ大至急納品してください」

驚いた。嫌味や叱責は一切ないどころか、
立花さんは、テーブルの向こうで頭をさげている。

「いえいえ、こちらこそ誠に申し訳ありませんでした。
どうぞ頭を上げてください。大至急手配いたします」
課長があわてて、声を上ずらせていた。
わたしも三峰さんとともに、頭を下げる。

「それから女性の方、お名前お聞かせいただけますか」
立花さんに名を問われて、わたしはびくんと頭をあげた。
「はい、海棠……海棠瑞希と申します」
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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