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5話 揺らぎ始めた未来


「……ふう」
日曜の夜、透の部屋から自分の部屋に帰ったわたしは、
その日、何度目かのため息をついた。

透は大手商社を辞め、小さなベンチャー企業に転職する。
……いいじゃない? 本人はすごくやる気だし。
前向きでイキイキしていて、明るかったし。

なのに、なんでこんなに不安がいっぱいで、
胸のうちがどんよりとして、悲しいのだろう。

まるで自分が安っぽいドラマによくある
「恋人が一流企業を辞めたとたん、
手のひらを返したように冷たくなる彼女」
みたいじゃない? いや、ほとんど同じだ。

透自身の仕事で、彼が勤める会社なんだから、
昨日本人にそういったように
「おめでとう、がんばってね」と思ってあげなきゃ。
……なのに、重苦しい不安と悲しみを、
拭い去ることができない。

いつかは彼と結婚して安定した未来が来る、
そう信じて思い描いた鮮明な幸せのビジョンが
急に揺らいで、はかなく薄れてしまったようで、
わたしはひどく、心細くなっていた。
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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