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2話 いつかこんな風に


わたしは透の帰って来た気配に引き寄せられ、
生花鋏を置くと、玄関に小走りで向かった。

「ただいま。いやー、疲れた。
上司との面談が長引いて、まいったよ」
玄関から上がってくる透は、
言葉とは裏腹に、ニコニコ笑って機嫌よさそう。
「おかえりなさい」
微笑むわたしの腰に手を回し、さらに耳元で
「ただいま、瑞希」と彼は囁く。

透の匂いと、大きな手と、強い力の腕に触れて、
ときめきながらも、同時に心の力をぬいて、
ホッと安心しているわたしがいる。

いつか彼と結婚して、毎日こんな風に暮らせたらいい。
この家で会うたび、いつもそう強く思う。
わたしは生け花を仕上げ、お惣菜をお皿に盛り付けると、
花とデリの両方をテーブルに並べはじめた。

「実は、昨日買ったシャンパンが冷蔵庫にあるんだ。
出してくれない? 今日はちょっと、お祝いしたくて」
部屋着に着替えた透が笑顔でいう。
「え、いったい何があったの?」
「オレ、6月いっぱいで転職することにしたから」
海棠瑞希(27)
オフィス家具メーカーの営業事務職。趣味はフラワーアレンジメント。
山野 透(29)
大手商社のシステム部に勤務。上司が起業した会社に転職を決意。
立花貴史(31)
医療器具販売会社の経営陣。かなりの美形。
白石由美(25)
瑞希の後輩で同じ会社の営業事務職。
赤羽美也子(27)
フラワーアレンジメントの教室で知り合った友人。
大島洋幸(38)
瑞希の課の上司。瑞希の働きぶりを頼もしく思っている。
山野美代子(56)
透の母。今回の透の起業は寝耳に水で非常にうろたえている。

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