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雪よりも白い心で-8

山の日暮れは早い。すぐに真っ暗だ。
時計代わりの携帯はまだ「17:25」の表示だけれど。

でも、吹き付ける風は次第に冷たくなり、
体感温度は冷凍庫並に冷えてきた。
スキー板も、落ちた時に下敷きにして折ってしまった。

何より、わたしがここに落ちたことは、
誰も気づいてないんじゃないかな。携帯も圏外だし。

「おーい!」と呼んでも、返事がない。
「誰か助けてー!」「高樹いまーす!」
10分ほど、呼び続けたけれど、こだますら返ってこない。
こんなところで遭難したら、どうしよう。

さすがに心細くなって、涙が出そうになったが、
自分の名前と「助けて」を交互に叫びながら、
ただひたすら誰かが来てくれるのを待ち続けた。

しばらくして、誰かが頭の上に丸い光を投げかけた。
いよいよわたしは、天使になるのかな。
そこへ顔をニュッと出したのが、坂口さんだ。

「ああ、いたいた。よかった」
くわえていたタバコを胸から出した携帯灰皿に入れ
「スキー板よこして」とグローブの手を差し出した。

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