お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

62話 手をとりあって


夕暮れの品川駅、早足で流れていく人波の中、
彼の姿はなかなか現れなかった。
遠距離恋愛も終わってやっと普通に付き合えるのに。

もしかして結婚を保留にしたこと、まだ怒ってる?
それともやっぱり、東京への転勤がイヤになった?
そんなバカな。
ディナーに誘ってくれたのは、坂崎くんなのに。
でもなんでメールの一本もくれないんだろう。

そんな時、後から不意に肩をたたかれ、
わたしは「ヒャッ!」と短い悲鳴を上げた。
「お待たせ。ごめんね道に迷っちゃって」
「よかった。来なかったらどうしようかと思った」
「そんな訳ないだろう。さ、行こう」

品川駅の人波は流れが速い。
早いテンポで歩かないと、彼とはぐれてしまいそう。
そう感じた時、坂崎くんは一瞬立ち止まって、
わたしと手をつないだ。
彼の暖かい手が、わたしの冷たい指先を包み込む。

すぐに結婚できなくても。将来の見通しが立たなくても。
わたしは今この人と、一緒に歩んでいく。
そうしたらきっと道のかなたに、
2人の未来が、見えてくるんじゃないかと思う。
山際さくら(27)
食品メーカーで一般職勤務。がんばり屋でしっかり者。
美浜 杏(27)
さくらの高校時代の友人で、損害保険会社に勤務。
橋場健斗(31)
製薬会社に営業職で勤めている。仕事にとても積極的。
坂崎 新(27)
さくらの高校時代の同級生で、地元の航空会社に勤務。
朋納寧々(23)
さくらの会社の後輩。かわいい外見の上、親が裕福なお嬢様。

お役立ち情報[PR]