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45話 やりきれない


「あ、わたしこれからエステの予約してるから。
じゃあ、楽しいクリスマスを過ごしてね」
「はい。先輩も。メリークリスマス!」
「メリークリスマス!」
寧々ちゃんは満面の笑顔を浮かべて、
橋場さんは、少し苦しそうな笑顔で会釈をして、
電飾の瞬くお台場の夜の中に消えていった。

ため息とともに乗り込んだゆりかもめでは、
あちこちで恋人たちが、見つめ合って愛を語る。
まるで透明な卵の殻に包まれているような、
ふたりだけの世界がいたるところで展開していた。
……なんで、泣けないんだろう。
ああ、そうか。わたし途方に暮れているんだ。
そして、とても怒ってるんだ。
あんな子どもみたいな嘘をつく橋場さんと、
それを見抜けなかった自分に、腹を立てている。

電車を乗り継いで着いた地元のエステでは、
アロマの効いたオイルで全身をマッサージしてもらった。
とても温かく、きめ細やかな施術がうれしい。
そうして、背中をマッサージしてもらったら、
一気に涙が噴き出した。
まぶたに当てられたタオルに涙が吸い込まれていく。
エステティシャンの女性はそれを知ってか知らずか、
無言のまま丁寧に施術を進めてくれた。
山際さくら(27)
食品メーカーで一般職勤務。がんばり屋でしっかり者。
美浜 杏(27)
さくらの高校時代の友人で、損害保険会社に勤務。
橋場健斗(31)
製薬会社に営業職で勤めている。仕事にとても積極的。
坂崎 新(27)
さくらの高校時代の同級生で、地元の航空会社に勤務。
朋納寧々(23)
さくらの会社の後輩。かわいい外見の上、親が裕福なお嬢様。

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