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44話 残酷な笑顔


「やだ健斗、どこ行くの?」
奈々ちゃんがそう言って呼び止めた男の後姿に、
わたしは心臓が止まりそうになった。
橋場さんそっくり……じゃなくて、本人だったから。

「いや、誰かに呼ばれたような気がして」
振り向いた橋場さんは、一瞬焦った顔をしたが、
その後はすぐに、何でもないような笑顔に戻った。
わたしも一瞬、ギョッとした顔をしてしまったが、
すぐに何事もなかったように、笑顔を返す。

「先輩、彼が合コンで一緒だったの覚えてます?
実は会社サボった彼って、この人なんです」
「もちろん。裏でそんな展開になってたとは、
知らなかったけどね」
「山際さん、だよね。あれから元気だった?」
橋場さんは笑顔のまま、とぼけた質問をする。
わたしも当たり前の笑顔で、受け答えする。

「ええ、まあ。相変わらずひとりですけど」
「今度ぼくの先輩紹介するんで、Wデートしましょう」
「うん、その時はよろしくね」
どうしてだろう。わたし、怒ればいいのに。
誰に気を使って、こんなに笑ってるの?
裏切った橋場さんに? 
それとも、何も知らない寧々ちゃんに? 
山際さくら(27)
食品メーカーで一般職勤務。がんばり屋でしっかり者。
美浜 杏(27)
さくらの高校時代の友人で、損害保険会社に勤務。
橋場健斗(31)
製薬会社に営業職で勤めている。仕事にとても積極的。
坂崎 新(27)
さくらの高校時代の同級生で、地元の航空会社に勤務。
朋納寧々(23)
さくらの会社の後輩。かわいい外見の上、親が裕福なお嬢様。

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