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40話 ブーケを胸に


式の後は、出席者全員で写真撮影となる。
わたしはその合間に人垣をぬい、すばやく杏に近づいた。
「杏、すっごくきれいだよ。幸せになってね」
「ありがとう。本当にありがとう」

そばに寄ると、彼女の頬には涙の跡がついていた。
いつも気の強い、口の悪い杏だけれど、
今日の結婚式は、胸に迫るものがあったのだろう。
その頬に、再び涙が伝う。
杏は今日まで、ずいぶんがんばったものね。
みんなが知らなくても、わたしがそのことを知っているよ。

写真撮影が終わると、新郎新婦は美しい庭を出て行く。
わたしたちはライスシャワーを浴びせて、
杏たちを祝福した。
そうして出て行こうとした杏が、突然こちらを振り向いた。
「さくら、受け取って」

白い花束が、大きな孤を描いて宙を舞った。
わたしはそれを、手を伸ばして受け取った。
瞬間、参列者からどっと歓声が上がる。

杏はわたしに手を振り、教会を後にした。
腕の中には、白い薔薇の花束。
わたしもいつか、杏のように愛する人と、
幸せを分かち合えるのだろうか?
山際さくら(27)
食品メーカーで一般職勤務。がんばり屋でしっかり者。
美浜 杏(27)
さくらの高校時代の友人で、損害保険会社に勤務。
橋場健斗(31)
製薬会社に営業職で勤めている。仕事にとても積極的。
坂崎 新(27)
さくらの高校時代の同級生で、地元の航空会社に勤務。
朋納寧々(23)
さくらの会社の後輩。かわいい外見の上、親が裕福なお嬢様。

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