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21話 ツラい時ほど前を見て


おめでた婚が決まっている杏が、結婚をやめたい?
わたしは目を丸くして、絵文字のほとんど入らない、
携帯の画面を見入った。

「体が弱っているから、投げやりになっちゃうんだよ。
一度ちゃんと、彼と話し合った方がいいよ」
「忙しくって、そんなことしてるヒマないって」
「そんな……赤ちゃんの命を預かってるのに。
ちゃんと話し合わなきゃダメ!!」
「そうだね。ちょっとがんばってみる。
ありがとう。さくらの、やさしくないとこが好き」

いけない。つい強い口調のメールになっちゃった。
でもいつもは口の悪い杏がこんな弱音。
よっぽど体がツラいんだろうな。
「簡単にお礼なんか言うと、あとで後悔するから」
「早く、それくらい元気になりたい。
結婚するなら意地でも式は挙げるから、来てね」
「もちろん!」

メールを終えた後も、落ち着かなかった。
わたしは心のどこかで、結婚さえできれば、
将来の不安も消え、あとは地道な努力と忍耐で、
人生、何とかなると思っている。
でも実際は、どうなんだろう?
自分の先を行く友は、思いもかけない現実に、
かなり戸惑い疲れているようだった。
山際さくら(27)
食品メーカーで一般職勤務。がんばり屋でしっかり者。
美浜 杏(27)
さくらの高校時代の友人で、損害保険会社に勤務。
橋場健斗(31)
製薬会社に営業職で勤めている。仕事にとても積極的。
坂崎 新(27)
さくらの高校時代の同級生で、地元の航空会社に勤務。
朋納寧々(23)
さくらの会社の後輩。かわいい外見の上、親が裕福なお嬢様。

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