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もう、まいったな-11

「バカなことはしないで!」
わたしは今一度、手すりから身を乗り出す浩一に、
捨て身のタックルを食らわせた。

「いいわよ。そんなことされたら、
どういう気がするか、浩一にも教えてあげる!」

わたしは自ら非常階段へと駆け出して、
手すりをつかむと、鉄棒で前転をするように、
ぐるりと反転して、地上へと身を躍らせる。

暗い闇に落ちると、全身の産毛が一気に逆立った。
「美晴ーーーっ!」
浩一の雄たけびが、頭上から聞こえてくる。

そしてガシャン! という大きな音とともに、
わたしは全体重をみぞおちに受けて、
ぐふっと重い痛みを味わった。

種明かしをすると、あらかじめ腰に、
クライミング用のロープを仕込み、
飛び降りる瞬間、手すりに金具をひっかけて、
命綱を結んでおいた……というわけだ。
「早く引っ張りあげてよ!」
そう叫ぶと、顔をぐちゃぐちゃにした浩一が、
泣きながらわたしを引き上げ始めた。

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