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もう、まいったな-10

手錠をしたまま眠るようになって、3日。
たしかに浩一は、夜部屋を抜け出て、
非常階段から飛び降りようとはしなくなった。

ただ、大きな体で寝返りを打つので、
引きずられてしまうわたしは、
夜中によく目が覚めるし、打ち身が絶えない。
眠りが浅いので昼間、朦朧とする時間が増えた。
そして……昨日また、手錠にはあからさまに、
鎖を切ろうとした傷が残っていた。

このままじゃダメだ。何とかして、
彼を心療内科に連れて行くしかない。
休みの日の昼間、非常階段から下を覗く。
地上8階。こんなところから飛び降りたら
……まず絶対に、助からないだろう。

わたしは抜けるように青い空を見上げた。
そして、あるアイデアがひらめいた。
危険な賭けだけれど、何もしないよりマシだろう。

その日から、2日後の夜。
わたしは夜中、浅い眠りからふっと目覚める。
「いない!」
手錠がペンチで切られている。
わたしはパジャマのままで、非常階段へと駆け出した。

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