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41話 ショッキングな報告


電話を切ってから、1時間と少し。店のドアが開いた。
藤木さんの姿を見て、自分の目を疑った。
「大丈夫か?」間違いなく、彼の声。
彼は私の隣に腰を下ろし、ドライマティーニをオーダーした。
「仕事中だったんですよね?」
「ああ。朝までには戻るよ」
「……どうして?」
「撮影があるんだ」
「そうじゃなくて……どうして、わざわざ箱根から来てくれたの?」
私の問いに、藤木さんはまじめな視線を返してきた。
「一之瀬さんがあんなことを言うなんて、よっぽどだろ?」
そう、私は壊れる寸前だった——叫びたい気持ちをこらえる。

藤木さんは「何かあったの?」と私の顔をのぞき込んだ。
「……3週間、会えなくて、連絡もなければ、寂しくもなるでしょ」
私の愚痴めいた非難に、藤木さんは心から驚いた顔をして、
「3週間? もうそんなに?」と戸惑っている。
「スタジオにカンヅメになってると、昼夜の感覚がなくなって、
そのうちに日付がかわったのもわからなくなるんだ。
今回はロケだけど、仕事に没頭していると、
やっぱり時間の感覚がおかしくなっちゃって」
——ああ、そういう人なんだ、と力が抜けた。
寂しがっていた私がバカみたい。
ホッとした気分になって、ロケの話なんかを聞いていると、
彼が言った。「NYに転勤が決まったんだ」
【登場人物】
一之瀬莉緒(28) 化粧品会社の広報。ニューイヤーのカウントダウンのため、1人NYを訪れ……。
藤木和哉(29) テレビ局のディレクター。NYのカウントダウンで莉緒と知り合う。
古川渉(29) 食品会社の広報。仕事がらみで莉緒と知り合いに。時々食事に行く仲。
奥村千紘(52) バー「ブパサニワット」のオーナー。
大谷美紀恵(33) 莉緒の上司。

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