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47話 あらためて


「やっぱり、着てきてくれると思ってたよ」

約束の初詣の日、待ち合わせに現れた篠田さんは
わたしの着物姿に、にこやかに目を細めた。
レーヨンの地味目な着物だし、着くずれも怖かったけど、
喜んでくれたなら、着た甲斐はある。
神社でもまたふたり列に並びながら、いろいろと話をした。
「お正月、わたしは例年通り、実家でのんびりしてた。
食べてばっかりで、少し太っちゃった」
「ぼくもお正月は実家で地元の友だちと、フットサルをやった」
「あ、篠田さん、フットサルやるんだ」

人ごみの中での参拝は、ちょっと落ち着かないけれど
神様の前で、目を閉じ手を合わせる。
「今年はもう少し、大人になれますように」
特に、篠田さんを傷つけることがないように。
神社を出た後は、老舗のお蕎麦屋さんで食事をし、
その後また、カフェでまったりとすごした。
篠田さんは言う。
「あらためてお願いするけど、ぼくと付き合ってください。
前の彼ほど愛せなくても、かまわないから」

……わたしはかすかに眉をひそめた。
確かに篠田さんのこと、拓海ほど愛せるかどうか、
今はまったく自信がない。
でも最初からそう言われるのは、ちょっと違う気がする。
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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