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39話 ごめんねごめんね


そうだよね。わたしだって心ときめく人がいる。
拓海が他の女性を好きでも、ぜんぜんおかしくない。
テーブルの向こうで、頭を下げる拓海を眺めながら、
いつごろから取り返しがつかなくなったのか、
ほんの一瞬の間に、いろいろと考えた。

本当はもうずいぶん前から、終わりの予感はあったんだ。
でもわたしも、たぶん拓海も、
とても注意深く、その予感に触れないよう努力してきた。
それはもう祈るような、必死の思いだった気がする。

そうだよね。わたしたち、十分がんばったよね。 
だからもう、終わりにしても……いいんだよね?

「ごめん。実はわたしも……他に好きな人がいるんだ。
もう半分、お付き合いを始めてる状態かも。
今までどうしても言えなくって。本当にごめんなさい」

嘘じゃない。今言ったことは真実だ。
でも、拓海だって好きなんだよ。
拓海の方が好きかもしれない。
だけどそれを言っても、もう2人は元に戻らないよね。

うつむいていた拓海が、ゆっくりと顔を上げた。
「そうか。なんだかほっとしたような、すごく悔しいような
……とても複雑な気持ちだよ」
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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