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29話 凹まない男


合コン初対面でいきなり交際って、普通ムリでしょ?
わたしはあきれながら、篠田さんに言った。
「今日は人数あわせで連れて来られただけで……
それにごめんなさい。実はわたし、遠距離の彼がいて……」
「じゃあ、まずはお友だちに。メルアド交換してください」
「うん、それぐらいならいいけど」

あれ、なんか彼のペースに乗せられた?
ともかく店の階段を降りた所で、わたしと篠田さん、
それに他の参加者も、メールアドレスの交換を始めた。
アドレス交換に赤外線通信が飛び交うとき、
人はなぜか無口になる。
「ねえ……ひょっとしてぼく、その遠距離の彼に似てる?」
「えっ!!」
いきなり問われて驚いたわたしの顔には、
たぶん「はい、その通り」と書いてあったと思う。
「そっか。じゃあぼくは”タイプ”ってことなんだ」
またしても篠田さんは、ニッといたずらっぽく笑う。
すごいな。この彼の凹まなさ加減。
でも今の微笑みに、少し心がグラッときたかも。

そして家に着いてから携帯を見ると、
さっそく彼からメールが届いていた。
「ぼくのメールには基本、返事はいりません。
もちろん、もらえたらうれしいけれど」
そうして翌日から、日に何度かメールが届くようになる。
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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