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27話 あれ、拓海?


合コンにはほとんど、期待は持てない。
27歳にもなれば、そのぐらいの分別はある。
もしかしたら……と思わないでもないけれど、
その時間を楽しく過ごすことができれば、まあ合格。
今回は和をベースにした創作料理店の個室で、
漆器をイメージした黒と赤のインテリアが美しい店とのこと。
プラス、料理もワインもおいしいらしい。
わたしは料理とお店の雰囲気を楽しみに会場へ向かった。
でも席に着くと、いきなり背中に汗が吹き出した。

……なんでここに、拓海がいるの?
隣席の男性の横顔を見て、何度も大きくまばたきをした。
「ぼくが、どうかした?」
「あ、いえ、なんでもないです」
「ふーん、本当に?」
そういって隣の席の男性は、ニッといたずらっぽく笑った。
あ、ぜんぜん違う。
拓海はこんなに挑戦的な笑顔は見せない。
「ごめんなさい。実はよく似た友だちがいるから」
「そう。まさか、元彼とかじゃないよね」
……さすがにここで「いや、現在進行形の彼です」とは言えない。
曖昧な笑みでごまかしていると「遅れてすみません!」と、
小牧美恵子が個室に駆け込んできた。
「じゃあ、とりあえず乾杯してから、自己紹介しましょう」
ワインの栓が抜かれ、掲げられたグラスがぶつかり、
はかなくも美しい音をたてた。
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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