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23話 寂しさは影のように


課長への告白という人生最大の落ち込みから、
わりと早めに立ち直ることができたわたしは、
ふと目をあげると、伏せてあった写真たてに駆け寄り、
拓海の笑顔を元のように起こした。
わたしの心が揺らいでしまっても、
写真たての拓海の笑顔だけは変わらない。
まるで神様みたいに、微笑みかけてくる。

「ごめんなさい。わたしが悪ぅございました」
あたしは彼の写真に向かい、両手を合わせて目を閉じた。
「なんだかこの恋、宗教みたいになってきたな……」
ふとおかしくなって、我ながらクスクス笑ってしまったが、
笑みが消えたとたんに、心の中がキューッと冷え込んだ。
もしかしたら、わたしと拓海の心は、
思ったよりもずっと、離れてしまっているのかも。

わたしは思わず、拓海に直に電話をかけようかと携帯を開いた。
「ねえ、わたしたちって、まだちゃんと恋人同士だよね」

……聞けない。そんなこと絶対に聞けない。
だいたいもう夜中の1時を回ろうとしてる。
「だって遠距離恋愛なんだから、しょうがないよ」
あえて口に出して言ってみた。
でも正直、今のわたしは毎日の仕事や生活の中、
できれば精神的に支えになる男性が欲しい。
そんな風に感じるのは、わたしが幼稚で依存心が強いから?
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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