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22話 われに返れば


「ただいま」
明かりをつけながら誰もいない部屋に挨拶する。
「あー、疲れた」
玄関から台所に直行し、冷蔵庫の浄水ポットの水を、
コップに注いで一気に飲み干した。

一息つくと、部屋の天井がぐらっと揺れた。
たぶん、ものすごく酔っていたんだ。
一次会ではセーブしていたけれど、
カラオケBOXでは、どれだけ飲んだかわからない。
こんなにお酒に溺れたのって、生まれて初めてだ。
そうして酔いが醒め始めると、
自己嫌悪が津波のように襲ってきた。

「うわあ……なんてバカなことを言ったんだろう」
今日のあの告白は、人生最大の汚点だ。
将来タイムマシンに乗れたなら、まずあの告白前に戻り、
自分のことを殴り倒してでも止める。

しかし思い返してみても、高村課長の対応は満点だった。
機転が利いていて、なのに思いやりがあった。
これで週明け会社に行っても、
きっと普通に仕事を再開できる。
フッてもらって本当によかった。心から感謝している。
もしも付き合い始めてしまったら、
課長の言葉通り、きっとおたがいを苦しめる関係になった。
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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