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20話 意外な言葉に


高村課長は口を閉ざしていた。
わたしに、何の言葉も返さない。
その沈黙が、胸を締めつける。
もちろん、わたしだって何も考えなかったわけじゃない。
もしNoと言われたら、明日からどんな顔をして会えば、とか。
でも一方で、ふたりはずっと気持ちを分かち合ってきたはず、
そんなゆるぎのない確信もある。何の根拠もないけれど。
ヤダ……きっとストーカーって、
今のわたしみたいな心理状況なんだろうな。
高村課長は、まだ口を閉ざしている。
いっそ「いい加減にしろ」と怒鳴ってくれたらいいのに。

課長が沈黙している間、それはほんの短い時間だったかもしれない。
でもわたしには、とても長い時間に感じられた。
その後、課長はちょっと下を向いてから、勢いよく顔を上げた。

「すまん、どう考えても無理だわ。
オレは水波の期待には、応えられそうもない」

そう言いながら課長は、まるで自分が断られたかのような、
とても悲しそうな顔をしていた。

「だってそうだろ、考えてもみろよ。
おまえは初めてのプレゼンをこなして、
オレはそのフォローをして、結果が出て万々歳。
今日は打ち上げでお祭り騒ぎだ。だが明日からは違う」
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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