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18話 飲んで騒げば


メールを打ち終わると、もう一度、
写真立てを元に戻そうとして、また伏せた。
拓海を見たくないんじゃない、
自分の心を拓海に見られるのがこわいんだ。
「シャワーを浴びよう」そう独り言をいい、
バスルームで熱いお湯を一気に頭から浴びる。
何かが起こったわけない。きっと一時の気の迷いだ。
今日は……もう早く寝てしまおう。

プレゼンの結果は翌週を待たず、木曜日に返ってきた。
「クリーニング会社の仕事は、ウチに決まった」
高村課長の言葉に、メンバー全員がわいた。
「来れる者だけでいい、明日打ち上げに行こう」

打ち上げは、会社近くのいつもの居酒屋だ。
「最初だけ顔出しします」という人も含めて全員がそろった。
とりあえずビールで乾杯だ。あらためて見回すと、
みんなの表情がピカピカに輝いて見える。
「今回の最大の功労者は、やっぱり水波さんですよね」
そう言われると、うれしさ半分、胸がチクンとする。
「そうですよね。あのとき、見積書を渡してなかったら、
もしかするとプレゼンは通ってなかったかも」
プロジェクトのメンバーのひとりが無邪気に言った。
「あー、その件は本当に申し訳なかった。
なんで、あんなことになっちゃったんだか……」
見積書を渡した件を思い出すと、今でも背筋がぞっとする。
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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