お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

12話 終電までがんばれ


「資料はどんな風に書き換えをすればいいのでしょう」
わたしは叱られるのを覚悟で、高村課長に質問した。
「要はアレだ、水波はうっかり見積書を渡したわけだが、
実はそれが故意だった、というノリにする」
「わたしが、わざと見積書を紛れ込ませたと?」

ここで高村課長はニヤリと笑った。
「そうだ。これまではプレゼンのアピールポイントは、
ユーザーが使用を楽しめる、だった。
だがそれだけだと、他社と大して差別化はできん」
課長はホワイトボードに、チャートを書き出した。
「しかしそれにプラスして当社は、
安全とスピードのために、
割高な下請け業者に仕事を依頼している。
どうせ携帯サイトの運用が始まったら、
クライアントも我々も変更したい箇所はいくつも出るんだ。
その際のフットワークのよさと安全性をアピールしよう」

メンバー全員の目の輝きが変わってきた。
「よし。ではアピール事項を思いつく限り書き出そう。
検討するのは、その後だ」
全員が発言のため、一斉に手を上げる。
わたしは全身に鳥肌がたった。
課長は、やっぱりすごい。
その日、プロジェクトのみんなも遅くまで、
わたしと課長は終電まで、資料の訂正に力を尽くした。
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

お役立ち情報[PR]