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9話 フォローできないミス


「では、これでよろしいでしょうか」
「はい、確かに承りました」
プログラミングの委託会社は、意外なほど会社の近くだ。
最終的な見積書とコピーを2部いただいて、頭を下げる。
ここは決して安くはないけれど、
急な発注や仕様変更にも丁寧に応じてくれる心強い会社だ。

さて午後からは、クライアントへ確認の打ち合わせに行く予定。
少し迷ったけれど、自席では急な電話がすぐ入るので、
社には戻らずにカフェに入り、昼食をとり資料の確認をする。
全部が終わるとため息の後、携帯で拓海の画像を呼び出した。
どうか遠い空の下から、仕事の成功に力を貸してくれますようにと。

クライアントの会社に着くと担当者が笑顔で迎えてくれた。
が、どうしても自分よりもはるかに仕事ができそうに見え緊張する。
でも思ったよりつつがなく、打ち合わせも終わった。
その後は一応会社によって高村課長に報告し、
後輩たちの業務の進み具合を見て、その日の仕事を終えた。
帰りの電車では運良く座れたとたん、ぐっすり眠ってしまい、
下車駅のアナウンスに、あわてて飛び起きた。

そのとき、自分の頭の中にある映像が浮かんできた。
……資料を入れてクライアントに渡したクリアファイルの中に、
下請け会社の業務見積書が、透けて見えているところを。
どうしよう。このままだとプレゼン先に、
下請けに出したプログラミングの料金がバレてしまう……。
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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