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6話 戦闘態勢突入


家に着くと遊園地で写した画像をプリントアウトし、
写真立ての拓海の写真を入れ替える。
今までのものは、歴代の写真と束ねて引き出しの中へ。

こうして写真を取り替えるときは、つい今まで飾っていた、
歴代の彼の写真も見てしまう。冬のゲレンデ、春の高原、夏のビーチ。
ふたりの姿は写真をめくるたび若返る。

そんな何枚もの写真を見ていくと、少しずつ息苦しくなってきた。
わたしたちは写真の通り、点の時間しか共有してない……。
今も拓海が何に喜び、何に苦しむのかを、まるで理解してない。
メールだって、おたがいの負担になるから、
悩みや愚痴はどうしても避けてしまう。
離れているから書けないことだってあるのだ。
わたしは手にした写真の束を、天井めがけて投げつけた。
今までのふたりの日々が、部屋中にはらはらと降りしきる。

次の朝。5時30分に目覚ましが鳴った。
洗面を終え、ゼリー飲料を吸いながらクローゼットを開け放つ。
これから大きな仕事が待ってる。
どこかで怯えがあるからこそ、ワードローブは完璧に。
お化粧も時間が許す限り念入りにして会社に行く。
恋は恋、仕事は仕事。
恋愛ではメソメソしても、仕事は落とさない。
でないときっとわたしは、何もかもなくしてしまう、
そんな気がしている。
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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