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4話 今の気持ちを叫びたい


翌日チェックアウトを済ませると、遊園地へ遊びにいった。
絶叫マシンのハシゴのため、あきれるほどおいしい宿の朝食も、
誘惑を振り切り控えめに食べて臨んでいる。

拓海と乗ったコースターがカタンカタンと鳴りながら、
あり得ない高さまで上がっていく。
「やっぱりよせば良かったかな」
大声を張り上げて、横の拓海に質問した。
「今さら、何を言っても遅いでしょ」
その通り。でもコースターが上りきって落ちる直前、
いつも少しだけ乗ったことを後悔するのだ。
だけど次の瞬間コースターは、すべてを吹き飛ばして急降下する。
「きゃーーっ!」叫びながら落ちながら回りながら、
わたしの神経や記憶はあちこちに飛び、ショートした。

拓海と過ごした6年間。
初めて会ったのは、大学のときのサークル交流会でだ。
積極的だった拓海が、最初は軽めに見えたけれど
会うたびその誠実さに触れ、告白されて交際が始まった。
でもおたがいが社会人になると、忙しくて会えなくて、
メールのタイミングも悪く、もっと相手を大切にと思いながらも、
すぐにケンカになってしまう、そんな切ない時期もあった。

そうして拓海の転勤で、遠距離恋愛が2年前から始まった。
「不在」という形での拓海の存在感は恐ろしいほどの強さだ。
当初、家では毎日、泣いてばかりいた。
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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