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2話 もうアツアツではないけれど


「ああもう、お腹ペコペコ」
「じゃあ、またあの店に行きますか」
富士の裾野にある駅前ロータリーから車を走らせ5分、
もう目的のお店についた。

拓海の住む町の、名物はうどん。
おなじみの店は、かなりの広さなのに満員だった。
それでも運良くすぐに座れて、アツアツのうどんが運ばれる。
拓海の眼鏡があっという間に曇った。おいしい。

「拓海は最近、忙しい?」
「うん。今、精密機器はオーダーに応じて作るメーカーが多くなって、
ウチみたいにオリジナルのセラミック部品はよく売れるんだ。
菜々子の方は、どう?」

「ウチは携帯コンテンツの製作がメインでしょ。
まだまだ山ほど仕事の依頼がくる。今度大きな仕事もあるし」
「そっか、忙しいのか。よかったね」

眼鏡の曇りがとれた拓海が、こちらを見て微笑んだ。
いいな。こんなに気持ちのいいお休みの日に、
いっしょにお昼ご飯が食べられるなんて。
学生時代から付き合ってもう6年。
もうとっくに付き合いは落ち着いて、
今食べたうどんみたいにアツアツとはいえないけれど。
でも今、わたしはすっごく幸せだ。
水波菜々子(27)
学生時代に出会った拓海と遠距離恋愛中。仕事は携帯サイトの企画営業。
野田拓海(27)
地方に本社を持つ精密機械の部品製造会社勤務。本社に抜擢され転勤。
高村直樹(35)
菜々子の上司にあたる、営業課長。仕事にはとても厳しいが……。
小牧美恵子(24)
同業他社から菜々子の会社に転職してきた新人。
篠田修治(28)
大手精密機器会社の研究所に勤務。趣味はアート鑑賞。

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