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木々を揺らす風-11

麻理さんを送ってきた潮は、疲れきった顔で部屋に座り込む。

「俺は麻理のことは愛してないし、寿賀子と別れたくない」

何度も小さくつぶやいていた。それはわたしに告げるというより、
吹き上げる自分の気持ちを確認する作業のようだった。

「じゃあ、どうするの?」
「会社を辞める。明日退職届を出してくる」

湿った服を着替えた彼はベッドに入り、眠る努力を始めた。
だが翌日、彼の願いは叶わなかった。

わたしが折れそうな心を必死にかきたて仕事をして帰宅すると、
先に帰った潮がベッドに腰掛け、頭を抱えていた。

「麻理の母親から結婚詐欺で訴えるといわれた」



そのあと彼は、すがるような顔でわたしにこういった。
「頼む。俺が麻理と結婚した後も付き合ってくれないか」

なにそれ。何をいっているのか分かってるのだろうか。
この一言で、一気に気持ちがさめた。
自分本位でその時だけよければいいという人たち同士、
潮と麻理さんはお似合いなのだ。
わたしはもう、この人たちとは一切関わるのをやめよう。

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