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木々を揺らす風-7

家に帰る足取りは重かった。
少し前までは潮と住む家に帰るのが、あんなにうれしかったのに。

いつものクセで「ただいま」を口にすると、潮が「おかえり」と答える。
メールの着信時間から、彼が会社を休んだのはわかっていたが、
その返事に身構える自分が、悲しかった。

「本当にごめん」「やめてよ、気持ち悪いよ」

部屋に入るなり土下座をされた。
ちっともうれしくない。かえって腹がたつ。

「あのさ、俺、今の会社辞めて、他のデザイン事務所に転職するよ。
 それなら麻理とも別れられるし、寿賀ちゃんともずっと一緒だ」

すぐには返事ができなかったが……正直うれしい。
「転職さえできれば問題ないよ。で、落ち着いたら籍を入れよう」

微笑む潮を見て、胸が痛んだ。
それは自分が裏切られたせいでもある。

でも逆に今回のことで日の目を見ずに逝く、
麻理さんと潮の赤ちゃんを思ってしまったせいでもある。

そしてわたしは、こんな彼でもやはり好きで別れたくない。

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