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木々を揺らす風-5

聞く前から、もう知ってた気がした。
でも、それでも腕は震えるし、涙がひとりでに出て止まらない。

「ごめん、ごめんね寿賀ちゃん。でも麻理には
『おたがい遊びだったし、もう別れてくれ』っていったんだ」

涙でゆがんだ部屋の中に、潮が見える。
そういえば休みの日、彼が何をしているのかは知らなかった。
わたしはほとんど家事をしていたけれど。

「でも……でもそうしたらアイツ
『パパにいいつけてクビにしてやる』っていうんだよ」

限界だった。もうこれ以上聞いていられない。
わたしは通勤用のバックをつかむと、外へと走り出た。

しばらく走ったあとで、あまりの豪雨に折り畳みの傘を開く。
意外と冷静だ。笑える。

行くところもないので、ネットカフェに入った。
防音は薄いながらも、やっと1人になれてともかくほっとした。

携帯を見ると、メールが5件に着信が3件。
うち4件のメールと着信の全てが潮からだ。
でも今はとても返事をする気も、ましてや許す気にもなれない。

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