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32話 さすがプロ


オフィスから最寄りの地下鉄の駅までのビジネス街を、うつむいて
歩いた。宗田くんへの自分の気持ちがわからなくて、苦しかった。
弱みに付け込むように、私をだましたことは、変わらない。
でも私にしてくれた告白は、きっと本物だった。

「あなた、悩んでいますね」
急に話しかけられて、顔を上げた。
そこには、女の人が笑顔で座っていた。
彼女の前の机には「占い」と書かれた行灯がある。
私はそのテーブルの前の丸いすに、吸い寄せられるように近づいた。
こうなったら、占い貧乏なんて言っていられない。

「あなたの悩みは、恋愛面」
占い師は私の顔をじっと見つめた。
私は何度もうなずいた。まさにそのとおり。さすがプロだ。
すると占い師は、再び笑顔になって続けた。
「今の恋愛は、すっぱり忘れちゃいなさい」
「忘れちゃっていいんですか!?」
思わず声が裏返る。
「きれいさっぱり忘れて、仕事に打ち込みなさい。
今は仕事運が強いとき。必ず大きなチャンスが回ってくる。
その代わり、少しでも未練を残したら、
すぐにそのチャンスは逃げていくから、気をつけなさい」
私はあわてて手帳を取り出し、それをメモしながら聞いた。
今は仕事のとき。そう言われると、そんな気がしてくる。
「わかりました、きれいさっぱり忘れます」
私が言うと、占い師は「その調子」と小さくブイサインを作った。

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