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31話 決意


宗田くんの決意は固かった。
課長がなにを言っても「ひとりでできます」「やらせてください」の
一点張りで、課長もとうとう折れた。宗田くんがまた営業に出たのを
見計らって、課長が私のデスクへやってくる。
「清美ちゃん、宗田くんのサポート頼むよ。さりげなく、ね」
「はぁ」という私のあいまいな返事を、課長は「わかりました」だと
受け取ったらしい。笑顔で二、三度うなずいた。

宗田くんがオフィスに戻ってきたのは、終業時間もすぎた頃だった。
「清美さん、お疲れ様です」
鞄を肩にかけ、まさに出ようとしていた私に宗田くんは言った。
振り返ると、宗田くんはプラン作成の資料をデスクに積み上げていた。
私はバッグを肩にかけたまま、立ち止まった。
残って彼を手伝うか、このまま帰るか。
どこかで、宗田くんを助けたいと思った。
課長に言われたからではない。
むしろ課長に頼まれたことを、口実にできると思った。
やっぱり手伝おう。振り向きかけた瞬間、宗田くんが言った。
「僕ひとりでやらせてくれませんか」
「でも」と言いかけた私の言葉を、宗田くんがさえぎる。
「ひとりでやらせてほしいって言うことすら、わがままなのはわかっています。でも、今度こそ、自分の力で達成したいんです。確かに僕、
清美さんに振り向いてもらうために、占いの力に頼っちゃったから。
自分の力だけでいって、そっぽ向かれるのが怖かった。
でも、今度こそ自分の力でやらせてください」
宗田くんは相変わらず、強気な言葉とは対照的な、はにかんだ笑顔を
見せる。私は「わかった」と小さくつぶやいて、オフィスを後にした。

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