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28話 初恋


「僕にとって、逆上がりの練習をいつも見てくれたお姉さんは
初恋の人でした。だから名前だって忘れなかった。
でも、小学校を卒業してしまって。
引越しもしたのだということは、だいぶ後になって知りました。
もう、あきらめていたんです。でも、大学4年のとき、
内定したこの会社の研修で、清美さんと再会した。運命だと思いました。
でも、運命を発展させられるかどうかは自分次第。
その研修で、清美さんが、僕も何度も話をしている人事の遼子さんと
仲良く話しているのを見ました。それで、遼子さんに相談したんです。
清美さんが占いを信じるというのを聞いて、
僕から遼子さんに、お願いしました。
僕を『運命の人』だと思わせるための占いをしてほしい、と」
宗田くんはそこまで一気に話すと、一息入れた。

「そんなことを頼んでしまったのは、本当に申し訳ないと思っています。
でも、僕の気持ちは真剣です。付き合ってほしいという言葉にも、
うそはありません」
宗田くんは急に丸めていた背中を伸ばして言った。
でも、私の気持ちは晴れない。
「やっぱりよくわかんないよ」
私の言葉に、宗田くんは首をかしげた。
「え、もう隠していることはなにもないです」
「違う、そうじゃなくて。
どうして、はじめから私にそう話してくれなかったの?
私をだますことしたの? しかも、私が一番弱いことを利用して」
「それは……」と宗田くんが言葉に詰まる。
「逆上がりをがんばっていた男の子は、まっすぐだった。
一生懸命だった。そんな姑息な手段使うなんて、信じられない」

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