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27話 過去の接点


宗田くんの話は、私にとっては驚くようなことだった。

宗田くんが磐梯の出身だというのは聞いていた。
私も小学校3年生から6年生まで、磐梯に住んでいた。
転勤が多くて他の場所ではつらい思いをしたこともあったけど、
磐梯ではみんな優しくて、いい思い出ばかりだ。
小学校まで同じだということが判明し、私たちはこの間、盛り上がった。

でも、本当は私たちは深く関わっていた。
「逆上がりができない男の子がいたの、覚えてませんか?」
宗田くんは言った。逆上がり……考えてはっとする。
確かに逆上がりができない男の子がいたのを覚えている。
放課後、いつも校庭の隅の鉄棒で、逆上がりの練習をしていた。
私がある日声をかけると、その子は目に涙をいっぱいためて言ったんだ。
できないことが悔しいんだって。
本当に一生懸命な様子に、私は胸打たれた。

それから、毎日私も放課後の練習に付き合った。
何度も何度も、男の子は鉄棒を握った。
マメができても、泣くこともあきらめることもしなかった。
2週間くらいがすぎた頃、やっと逆上がりができるようになった。
2人で校庭を飛び跳ねて、大喜びしたのを覚えている。
本当にまっすぐで、一生懸命で、かわいい男の子だった。
でも、まさか。
「それが、僕です」
宗田くんは、はにかんだ笑顔を見せた。

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