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26話 全然わからない


休日の昼下がり、喫茶店の中は客の明るい話し声に包まれていた。
でも、私と宗田くんが向かい合ったテーブルに会話はなかった。
私は、宗田くんの腕を見た。包帯が几帳面に巻かれている。

今日、私は宗田くんが事故に遭ったと聞いて、大慌てで病院へ向かった。
宗田くんは幸いにも軽症。でもほっとしたのもつかの間、
事故に遭ったときに一緒にいたのが、遼子だということが判明したのだ。
その遼子は、「店の準備があるから」と、さっさと帰ってしまった。
こんなときまでサバサバしてる。

「うその占いを遼子に頼んだってどういうこと?」
私が言うと、宗田くんは一層肩をすぼめた。
「僕が研修で清美さんの課に配属になる前日、遼子さんに
『明日大切な人に出会う』と言ってほしい、とお願いしたんです」
あんなに張り切って誕生日を迎えたというのに、
ニセ情報だったなんて、私バカみたいだ。
「全然意味わからないよ。だって、私と宗田くんは
その日はじめて会ったんだよ。どうしてそんなことを遼子に頼むの?
しかも、その時点で遼子と知り合っているのもわからないし」
「僕と清美さんはあの日初対面じゃありません。
半年前、研修で内定者の僕たちに話をしてくれましたよね」
確かに営業の仕事内容などを話したことがある。でも、あのときは
私は舞台の上、内定者はたくさんいたから、宗田くんの記憶はまったくない。
「それに本当はもっと前、僕は清美さんに会っています」
宗田くんは、静かに話しはじめた。

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