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22話 無事でいて


そこからのことは、あまりよく覚えていない。
私は遼子から聞いた病院の名前と場所をメモして、
次の瞬間には外に飛び出していた。
電車の中で少しだけ自分を取り戻したとき、私はカタカタ震えていた。
すごく怖かった。宗田くんが大きな怪我をしていたらどうしよう、
死んじゃったらどうしようって。
お願い、無事でいて。
書きなぐったメモにすがるように、心の中で何度も唱えた。

病院は、都心に近い。遼子や私の家よりも、職場に近いところにあった。
最寄りの駅からタクシーに乗った。
思ったような大きな病院ではなかったけれど、
表に救急車が2台とまっている。
力の入らない手で支払いを済ませて、病院に駆け込んだ。
外来受付の前を、駆け抜けようとした。

「清美さん!」
思わぬところで名前を呼ばれ、急ブレーキをかけた。
振り返ると、こちらに手を振る人がいる。
間違いない、宗田くんだった。
え、なんか、いつもどおり元気そう。
「大丈夫なの?」
半泣きになりながら駆け寄ると、宗田くんは照れくさそうに頭をかいた。
その腕に、包帯が巻かれている。
「軽い打撲、つまりただの打ち身です。自転車とぶつかっただけ
なんですよ。もう、遼子さんが慌てて連絡しちゃうから」
隣に腰掛けていた遼子が、気まずそうにチロリと舌を見せた。

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